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鷹木との出会い

このコラムを開始したばかりのこのタイミングでこの男のことを語るのは本望ではないが、なにせ鷹木はつい先日この世を去ったばかり。
人々の記憶から葬り去られる前に語るのが良いだろう。

鷹木との出会いはおよそ10年前、2005年。

当時、私は事業に失敗して、背水の陣で私を含め友人と3名でデリヘルを開業したばかり。
風俗を開業すれば儲かるという素人の発想とは裏腹にとにかく店は暇だった。
人員は3名もいるものだから、受付を担当した私は朝から晩までネットサーフィンの日々を過ごしていた。

そんなとき、2chで面白いスレッドを見つけた。

その名も「フーゾクの経営者です。」という名のスレッド。

そのスレッドを立てたいわゆるスレ主が鷹木だったのだ。

私は仲間がいたものの、他の二人は風俗においてはズブの素人、風俗関係者の話相手が欲しかった。
スレッドの住人は「単なる冷やかし」や「業界関係者」の他、実際に風俗経営者もそれなりにいた。

鷹木はスレの中では「1さん」と呼ばれ、主に風俗経営者への興味本位の質問や開業希望者の相談などに答えており、スレ内では当時鷹木が経営していたとされる鶯谷のSMクラブ「アレスト」やその後継店となる「マスターズクラブ」という実店舗名および「鷹木」という名前は既に晒されていたが、鷹木はあまり気にしていない様子だった。

鷹木はスレ内での質問等には真摯に答え、誹謗中傷にも動じない強靭なメンタルを持っていて、何よりも文才に長けていた。
ある意味、そこに集まる他の経営者とは別格で、それにも関わらず非常に友好的な態度、それはそれは私の目には偉大な人格者のように映った。
気がついた時には鷹木のファンになっていたのだ。崇拝に近い感覚さえあった。
ちなみに今となっては知る由もないが、なぜ鷹木がスレを立て、何の利益にもならないスレの運営に時間を割いていたのかは私にはわからない。

そして私は札幌のヘルス時代の先輩で同じくデリヘルを開業したばかりのソウルメイトのTさんと鷹木に会いに行くことになった。
鷹木はスレ内での対応と変わらず、基本的にはリアルでも来るものは拒まず、私たちの訪問を歓迎した。

私たちはそれぞれの地から羽田に降り立ち、都内某所で落ち合いその足で鶯谷へ向かった。
鶯谷に到着してすぐに電話をして、そこから鷹木に案内される通りに道を進み、雑居ビルの2階にあるマスターズクラブの受付所に到着した。

そしてついに鷹木と対面することになるのだが、想像していなかった鷹木の姿に目を疑ったことを今も忘れない。

続く。